WORKS
HOTEL – SATOYAMA TERRACE
千葉県 / 富津市
Architecture
Hotel
水脈の里をつくる
新たな里山の風景をつくる上で、目に見えない自然環境である、「水」と「風」の流れを読むということを意識しています。水は、多くが山に蓄えられ、土の中を流れます。川や水路で我々が目にしている水は、ほんの一部です。また、この土地の近隣には、「滝の不動尊」という銘水が存在し、山からの豊富な湧き水がこの土地を豊かにし、人々の生活に密接に関わってきました。風は、吹いてみたり、止んでみたりと気まぐれですが、季節や気候、地形に連動してこの土地に流れます。これらの見えない環境に意識を傾け、サイト全体の土地利用、建築の配置と形状、立ち方を決めています。
それぞれの建物は、大地への設置面を最低限に抑え、地面から浮かせることで、土中や土上を流れる水や風の流れを妨げないように配慮し建てられています。また、環境シュミュレーションにより、風の流れを可視化、解析し、サイト内に柔らかな風の流れを流すように建物の形状や配置を調整しています。さらに、敷地のスケール合わせた、小さなキャビンを、生態系の一部のように配置し、軽やかな風の流れをつくり、水脈の里として再生することを考えています。
ランドスケープでは、既存の地形を最大限生かしながら、本来あるべき水の流れや地形を整えるように、山の麓に堀を設け、山からの水を受ける溜池や水路を新たに設けています。土上に流れる水は、人や生物に潤いを与えます。また、土中では、植物の根や土を育てる微生物にエネルギーを与えます。その上で、人の営みとしての道や、ファイヤーピット等の集う場を設け、人と自然が共生する風景を作り出します。
環境がつくる建築のかたち
メイン棟には、里山に繋がるデッキテラスが建物を貫通するように設けられています。建物が風や水の流れに逆らわないよう、軽やかにデッキを浮かせ、その上に、柱のない大きな屋根を掛け渡し、心地よい居場所をつくり出しています。
このように生まれたデッキテラスは、豊かな里山の緑を背景に、山からの柔らかな風の流れをつくります。また、滝の不動尊を模した水場により、豊かな水の恵を実感できる場としてつくりあげています。柱のない額縁の様なこの空間は、長い時間をかけて生まれた、この地域の美しい風景を特別な記憶として堪能できる場となっています。
また、大地が隆起した様に立ち上がるボリュームには、2つのサウナを設けています。それぞれに大地の恵を感じる要素で構成しており、豊かな水を感じる「滝サウナ」と、里山の恵を感じる「山サウナ」となっています。滝サウナでは、豊富な水と自然石により、不動明王を想起させる激しい流れや水しぶきを感じ、滝に打たれることで心身を清められる特別な体験を与えます。また、山サウナでは、山の起伏の様な凹凸のあるベンチが背景の里山の風景と繋がるように計画され、土や木、緑等、山の中の自然を感じられる空間として計画されています。
里山の風景に溶け込む
SATOYAMA TERRACEのある富津市には、約500万年前に海底だった場所が隆起して生まれた鋸山(ノコギリヤマ)が存在します。地質的な形状と、人工的な採石によって生まれた、ギザギザとした形状は、自然の力と人間の営みが長い年月をかけて積み重なり、組み合わさってできた特徴的な風景であり人々に愛され続けています。SATOYAMA TERRACEのキャビンエリアでは、このような自然の力と人工的な力が組み合わされた鋸山の風景に着想を得て、石が刻まれた様なかたちのキャビン棟が群となり、新しい里山の風景をつくり出しています。
キャビン棟は、この土地の潜在的価値である、山からの豊かな水の流れ、この里に流れる心地よい風を生かすため、調査、分析を経て配置計画がつくられています。細長く立体的な地形に対して、建物を軽やかに浮かせ風や水の通り道を維持しながら、自然の流れに逆らわないように計画されています。
また、内部では、床、壁、天井、さらに家具においてもカラマツの木材を採用し、自然素材の持つ木目や香に包まれる柔らかな空間となっています。外部に連続するデッキスペースは、国産の飫肥杉材によりつくられ、経年変化しながら、里山の風景に溶け込むように計画されています。
それぞれの建物は、大地への設置面を最低限に抑え、地面から浮かせることで、土中や土上を流れる水や風の流れを妨げないように配慮し建てられています。また、環境シュミュレーションにより、風の流れを可視化、解析し、サイト内に柔らかな風の流れを流すように建物の形状や配置を調整しています。さらに、敷地のスケール合わせた、小さなキャビンを、生態系の一部のように配置し、軽やかな風の流れをつくり、水脈の里として再生することを考えています。
ランドスケープでは、既存の地形を最大限生かしながら、本来あるべき水の流れや地形を整えるように、山の麓に堀を設け、山からの水を受ける溜池や水路を新たに設けています。土上に流れる水は、人や生物に潤いを与えます。また、土中では、植物の根や土を育てる微生物にエネルギーを与えます。その上で、人の営みとしての道や、ファイヤーピット等の集う場を設け、人と自然が共生する風景を作り出します。
環境がつくる建築のかたち
メイン棟には、里山に繋がるデッキテラスが建物を貫通するように設けられています。建物が風や水の流れに逆らわないよう、軽やかにデッキを浮かせ、その上に、柱のない大きな屋根を掛け渡し、心地よい居場所をつくり出しています。
このように生まれたデッキテラスは、豊かな里山の緑を背景に、山からの柔らかな風の流れをつくります。また、滝の不動尊を模した水場により、豊かな水の恵を実感できる場としてつくりあげています。柱のない額縁の様なこの空間は、長い時間をかけて生まれた、この地域の美しい風景を特別な記憶として堪能できる場となっています。
また、大地が隆起した様に立ち上がるボリュームには、2つのサウナを設けています。それぞれに大地の恵を感じる要素で構成しており、豊かな水を感じる「滝サウナ」と、里山の恵を感じる「山サウナ」となっています。滝サウナでは、豊富な水と自然石により、不動明王を想起させる激しい流れや水しぶきを感じ、滝に打たれることで心身を清められる特別な体験を与えます。また、山サウナでは、山の起伏の様な凹凸のあるベンチが背景の里山の風景と繋がるように計画され、土や木、緑等、山の中の自然を感じられる空間として計画されています。
里山の風景に溶け込む
SATOYAMA TERRACEのある富津市には、約500万年前に海底だった場所が隆起して生まれた鋸山(ノコギリヤマ)が存在します。地質的な形状と、人工的な採石によって生まれた、ギザギザとした形状は、自然の力と人間の営みが長い年月をかけて積み重なり、組み合わさってできた特徴的な風景であり人々に愛され続けています。SATOYAMA TERRACEのキャビンエリアでは、このような自然の力と人工的な力が組み合わされた鋸山の風景に着想を得て、石が刻まれた様なかたちのキャビン棟が群となり、新しい里山の風景をつくり出しています。
キャビン棟は、この土地の潜在的価値である、山からの豊かな水の流れ、この里に流れる心地よい風を生かすため、調査、分析を経て配置計画がつくられています。細長く立体的な地形に対して、建物を軽やかに浮かせ風や水の通り道を維持しながら、自然の流れに逆らわないように計画されています。
また、内部では、床、壁、天井、さらに家具においてもカラマツの木材を採用し、自然素材の持つ木目や香に包まれる柔らかな空間となっています。外部に連続するデッキスペースは、国産の飫肥杉材によりつくられ、経年変化しながら、里山の風景に溶け込むように計画されています。

































DATA
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竣工2025.07
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設計監理佐々木達郎建築設計事務所
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所在地千葉県富津市
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施工株式会社笹原工務店
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用途簡易宿所、公衆浴場
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構造設計KAP
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構造メイン棟 / 木造一部鉄骨造 キャビン・トイレ棟 / 木造
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照明ICE都市環境照明研究所
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階数地上1階
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ランドスケープPLATdesign
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敷地面積8758.94㎡
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サインデザインSHIFTBRAIN Inc. 株式会社ingraft ANDMADE Inc.
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建築面積837.15㎡
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写真加藤純平
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延床面積648.22㎡