Tatsuro Sasaki Architects

過酷な自然との共存
日本の最北端である北海道稚内市に再生エネルギー事業を展開する三浦電機株式会社の新社屋を設計した。敷地である稚内市は、人口4万人弱の小さな町である。3つの海に囲まれ、海風が強く、冬は-20℃となる猛吹雪の中で生活を強いられる過酷な自然環境を持った街である。このような過酷な自然環境に抵抗しながら生活を強いられる事業社は、その自然との共存が未来の生活に必要であると考えている。そこで、再生エネルギー事業の拠点となる新社屋の設計を行った。

恒久的な魅力
この厳しい自然環境に立ち向かうため、永く愛される恒久的な魅力をもつ建築が必要であると考えた。
それは、時間に左右されず、その場所の魅力をつくることに他ならない。また、その建築が街に愛されることが非常に重要であると考えている。ヒントとなったのは、稚内の街の風景として、永くシンボルとしてあり続ける防波堤ドームである。そこには、普遍性、連続、重量感といった要素があり、恒久的な魅力をもち、市民に愛されている。このような魅力をこの建築に持たせられないかと考えた。

建物の構成と材料
建築は、大きくオフィス棟と車庫棟の2つに分かれている。2つのボリュームの間には、大きな緑の芝生エリアを設け、閉塞的な街の風景に奥行きを与えている。また、芝生エリアをつくることで、風景をつくると共に、オフィスの南側からの採光を確保している。建物の大きな特徴となっているのは、オフィス棟2階部分の壁面に設置した太陽光パネルである。再生エネルギー利用のシンボルとして特徴的なファサードをつくっている。また、連続する羽目板張りの壁面と重厚感のあるコンクリートの構成により、建築に恒久的な印象を持たせることができた。羽目板張は、自然の木材でしか出せない赤褐色の豊かな表情を作っている。また、コンクリート打ち放し部分には、地場産のトドマツを型枠に利用し、強い質感の中に柔らかな表情を与えた。

再生エネルギーの利用
環境負荷低減の工夫としては、様々な技術を取り入れている。建物の暖房機能と、敷地内の融雪設備には、敷地内に80m×18本の井戸を掘り、地熱熱ヒートポンプを利用し、24時間運転を行っている。また、外壁と屋根面には、102枚の太陽光パネルを採用し、発電を行っている。その他、照明器具のLED利用や、高気密、高断熱の木製建具、地場産の珪藻土の仕上げなど、環境への配慮を様々行っている。